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令和8年10月1日からパートタイム・有期雇用労働者に関する改正【顧問先様用動画解説付き】

deviseanew
8月6日
読了時間: 6分

更新日:9月4日

契約書、時計、会議中の人物、天秤、カレンダー、クリップボード、書類チェックと作業員のアイコンが並ぶ業務管理のイラスト

令和8年10月1日、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが大きく変わります。

「同一労働同一賃金」という言葉はすでに広く知られていますが、今回の改正ではさらに踏み込んだ内容が追加されました。「うちはもう対応済み」と思っている企業でも、改めて自社の制度を点検する必要があります。

改正の柱は以下の3点です。

  • ① 雇い入れ時の労働条件明示事項の追加【パート・有期法施行規則】

  • ② 「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正【告示】

  • ③ 雇用管理の改善等に関する措置内容の変更【告示(雇用管理指針)】

以下、それぞれのポイントを実務目線で解説します。

出典:厚生労働省

「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000815925.pdf

1.雇い入れ時の労働条件明示事項が追加されます


今回の改正で、パートタイム・有期雇用労働者を採用する際に交付する労働条件通知書に、新たな記載事項が加わります。

追加されるのは、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示です。

これまでも説明義務自体は存在していましたが、「説明を求める権利がある」ことを採用時に書面で伝えることが新たに義務化されます。違反した場合は10万円以下の過料の対象となります。

実務上は、現在使用している労働条件通知書の書式を確認し、この一文が入っているかどうかをまず確認してください。厚生労働省のモデル様式も改正されていますので、書式の更新をお勧めします。


2.「同一労働同一賃金ガイドライン」が改正されます


同一労働同一賃金ガイドラインとは、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間でどのような待遇差が「不合理」にあたるかを、具体例を交えて示したものです。


今回の改正では、これまで明確な基準がなかった項目についても考え方が示されました。特に賞与・退職手当については、「正社員にしか支給しない」という慣行を持つ企業が多いですが、その目的(労務の対価の後払い・功労報償等)がパートタイム・有期雇用労働者にも当てはまる場合は、職務内容等の違いに応じた均衡のとれた支給が必要とされます。「正社員だから支給する」という理由だけでは不合理と判断されるリスクがあります。


その他、今回新たに明確化された主な項目は以下のとおりです。

  • 無事故手当:業務内容が同一であれば、正社員と同一の支給が必要

  • 家族手当:継続的な勤務が見込まれるパートには、正社員と同一の支給が必要

  • 住宅手当:転居を伴う配置変更がある場合は、正社員と同一の支給が必要

  • 福利厚生施設:利用条件(料金・割引率等)に不合理な差を設けてはならない

  • 病気休職:継続的な勤務が見込まれるパートには、正社員と同一の給与保障が必要

  • 夏季冬季休暇:正社員と同一の休暇を付与しなければならない

  • 褒賞:同一期間勤続した場合、正社員と同一の褒賞を付与しなければならない

「うちはパートに賞与を出していないが、正社員への賞与は業績連動だから問題ない」といった判断は、今後通用しなくなる可能性があります。

自社の各種手当・福利厚生の支給目的を改めて整理することが重要です。


ガイドライン改正における留意事項

ガイドライン改正に関連して、現場でよく見られる誤解や見落としがちなポイントを整理します。


  • 「正社員の待遇を下げて差を埋める」はNG:待遇差の解消は、あくまでパートタイム・有期雇用労働者の待遇を引き上げる方向で行う必要があります。コスト削減を目的に正社員の手当を廃止・減額する対応は、法の趣旨に反します。

  • 定年後継続雇用者も要注意:「定年後の再雇用だから待遇差があっても仕方ない」という考え方は通用しません。待遇の性質・目的に照らして個別に判断されます。

  • 「正社員確保のため」は理由にならない:「優秀な正社員を採用・定着させるために正社員の待遇を手厚くしている」という説明だけでは、待遇差の合理的な理由とは認められません。

  • 無期雇用フルタイム労働者も対象外ではない:パート・有期法の直接の適用対象ではありませんが、有期から無期に転換した際の労働条件設定にはガイドラインの趣旨を考慮する必要があります

特に定年後継続雇用については、相談の中でも「問題ないと思っていた」というケースが多く見られます。


3.雇用管理の改善等に関する措置内容の確認


パートタイム・有期雇用労働者の「働く環境」全体の底上げが求められています。今回の改正の制度整備だけでなく、日々の運用レベルでの対応が問われますので、確認が必要です。


  • 公正な評価に基づく賃金決定:「パートだから一律時給」という運用は見直しが必要です。職務内容・成果・意欲・能力・経験等を公正に評価し、昇給に反映する仕組みを整えることが望ましいとされています

  • 職業能力開発:研修や教育訓練はパートタイム・有期雇用労働者にも適用されます。「正社員だけ研修に参加させている」という運用は見直しが必要です

  • 正社員転換推進措置:転換制度を設けるだけでなく、契約更新時の面談等でパートタイム・有期雇用労働者本人の意向を確認・配慮する必要があります。

  • 「制度はあるが誰も使っていない」では不十分と捉えられてしまいます。

  • 待遇差の説明:求めがあれば①待遇差の内容・理由、②措置を講じる際に考慮した事項を説明しなければなりません。「なぜ正社員と差があるのか」を説明できる状態にしておくことが重要です

  • 労使の話し合い促進:パートタイム・有期雇用労働者の声を拾う機会(面談・アンケート等)を設けることが求められます。現場の実態を把握することが、トラブル防止にもつながります

  • 情報公表:正社員等への転換制度の内容・実績をウェブサイト等で定期的に公表することが望ましいとされています


まとめ


施行前に確認すべき対応チェックリスト

今回の改正は、「同一労働同一賃金はすでに対応済み」と思っている企業にとっても、改めて自社の制度・運用を見直すきっかけになります。令和8年10月1日の施行までに、以下の対応を進めておきましょう。


  • 労働条件通知書の更新:「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」の一文を追加する(書式の確認から始めましょう)

  • 各種手当・福利厚生の点検:賞与・退職手当・各種手当・休暇等について、「なぜ正社員にだけ支給しているのか」を改めて整理・見直す

  • 就業規則・賃金規程の整備:ガイドライン改正を踏まえ、不合理な待遇差が残っていないか規程を点検・改訂する

  • 待遇差の説明体制の整備:「なぜ差があるのか」を説明できる資料・窓口・担当者を整える

  • 正社員転換制度の整備・周知:制度を設けるだけでなく、対象者へ配慮し、意向確認まで運用として定着させることが望ましい


「何から手をつければいいかわからない」という場合は、まず自社の労働条件通知書と就業規則の確認から始めることをお勧めします。対応が遅れると法令違反となるリスクもありますので、社内での対応が難しい場合はお早めに社労士等の専門家までご相談ください。

【顧問先様用解説動画 再生動画24:09 スライド7枚】



キーワード 令和8年度 法改正 パートタイム・有期雇用労働法 同一労働同一賃金

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