2027年4月施行|外国人雇用はどう変わる?特定技能・育成就労制度
更新日:9月4日

これまで外国人を雇用する際によく使われてきた「技能実習制度」が、2027年(令和9年)4月1日をもって廃止されます。代わりに「育成就労制度」という新しい仕組みが始まります。また、すでに使われている「特定技能制度」も、同じタイミングでルールが一部変わります。
この記事では、専門用語をできるだけかみ砕きながら、雇用する側が知っておくべきポイントを整理します。
出典:
育成就労制度の概要(令和7年12月 改 訂 ) 令和6年6月21日「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する 法律」
「技能実習制度」とは何だったのか
技能実習制度とは、もともと「日本の技術・技能を発展途上国に伝える国際貢献」を目的として作られた制度です。外国人が日本の企業で働きながら技術を学び、帰国後に母国の発展に役立てる、という建前でした。
しかし実態は、人手不足を補う「労働力確保の手段」として使われることが多く、「技術を学ぶ」という目的と現場の実態がかけ離れているという批判が長年続いていました。
また、転職(転籍)が原則禁止されていたため、劣悪な環境でも働き続けざるを得ないケースも問題視されていました。
こうした問題を受け、政府は技能実習制度を「発展的に解消」し、実態に合った新制度に切り替えることを決定しました。
新しく始まる「育成就労制度」とは何か
育成就労制度は、「人材育成」と「人材確保」を正面から目的に掲げた新しい在留資格です。
外国人が日本で3年間働きながら技能を身につけ、その後「特定技能1号」に移行することを想定した制度です。
技能実習との大きな違いは、「転籍(職場を変えること)の自由化」です。
一定の条件(就労期間1〜2年・技能試験・日本語試験の合格等)を満たせば、外国人本人の意向で別の会社に移ることができるようになります。
育成就労外国人の本人意向による転籍を一定要件の下で認めることなどにより、労働者としての権利保護を適切に図れるということです。
しかし、雇用する側にとっては「育てた人材が転職してしまうリスク」が生まれます。
処遇・職場環境・育成体制の整備が、人材定着の鍵となります。
「特定技能制度」とは何か、何が変わるのか
特定技能制度とは、2019年(平成31年)に始まった在留資格で、「即戦力となる外国人を受け入れる」ことを目的としています。介護・建設・農業・外食など、人手不足が深刻な分野で、一定の技能・日本語能力を持つ外国人を雇用できる制度です。
技能実習と違い、最初から「労働力確保」を目的としている点が特徴です。
対象分野は現在19分野(2026年時点)
対象分野は段階的に拡大されており、2026年1月23日の閣議決定で
新たに「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加され、
計19分野となりました。
ただし、この新3分野は技能試験等の整備中のため、実際の受入れ開始は
2027年頃の見込みです。
また、外食業分野は受入れ上限に達したため、2026年4月13日から新規の
在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。
外食業で新たに採用を検討している企業は注意が必要です。
今回の改正で変わる主なポイント
特定技能1号の外国人を雇用する場合、会社は「生活支援」(住居確保・日本語学習の機会提供・定期面談など)を行う義務があります。
この支援業務を外部に任せる場合、これまでは比較的自由に委託先を選べましたが、改正後は国に登録された「登録支援機関」にしか委託できなくなります。
「技能実習計画」とは何か、廃止後はどうなるか
技能実習計画とは、「この外国人に、この期間、この技術を教えます」という内容を国(外国人技能実習機構)に申請・認定してもらう書類です。
技能実習制度では、この計画の認定を受けることが外国人を受け入れる前提条件でした。
2027年4月1日以降、この技能実習計画の新規認定申請はできなくなります。
ただし、施行日前にすでに認定を受けた計画に基づいて働いている技能実習生は、経過措置として引き続き在留できます。
なお、技能実習の在留資格から育成就労の在留資格への変更はできません。
現在の技能実習生は、技能実習のルールのまま在留を続けることになります。
※経過措置については、以下のURLをご参照ください。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001456036.pdf
「監理団体」「監理支援機関」とは何か
技能実習制度では、外国人を受け入れる企業と外国人の間に「監理団体」という組織が入り、受入れが適正に行われているかを監督する役割を担っていました。
育成就労制度では、この監理団体に代わり「監理支援機関」という新しい組織が同様の役割を担います。ただし、許可基準が大幅に厳格化されます。
具体的には、外部の監査人(第三者)を置くことが許可の条件となり、受入れ企業と深い関係にある人物が監理業務に関与することが禁止されます。
現在利用している監理団体が、監理支援機関の許可申請を行っているかどうかを早めに確認しましょう。
改正とは別に:特定技能雇用で元々必要な対応
制度改正の話とは別に、すでに特定技能外国人を雇用している企業が見落としがちな義務があります。
特定技能1号の外国人を雇用する場合、会社には「1号特定技能外国人支援計画」を作成・実施する法的義務があります。
支援の内容は10項目(事前ガイダンス・住居確保・生活オリエンテーション・日本語学習機会の提供・定期面談など)が定められており、すべて実施しなければなりません。
登録支援機関に支援計画の全部を委託した場合、支援体制の基準を満たしたものとみなされますが、雇用主としての届出義務はなくなりません。また、定期面談において労働基準法違反等が確認された場合は行政機関へ通報する義務も残ります。
さらに、定期届出(年1回)随時届出(雇用契約の変更・終了など)を、地方出入国在留管理局(またはオンラインの電子届出システム)へ提出することも義務です。届出漏れは在留資格の更新に影響する可能性があります。
労働保険・社会保険・税の適正な納付も受入れ機関の基準要件であり、未納が続く場合、受入れ機関の基準不適合として受入れ資格の喪失につながる可能性があります。
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html
まとめ
2027年4月の施行まで時間はあるようで、準備には相応の時間がかかります。今のうちに自社の状況を整理しておきましょう。
技能実習生を雇用している企業
技能実習生の在留状況・計画認定日を確認する → 施行日(2027年4月1日)前に認定済みであれば経過措置で継続可。認定日が不明な場合は外国人技能実習機構に確認を。
技能実習2号修了後の進路を確認する → 育成就労への変更は不可。ただし試験免除で特定技能1号への移行は引き続き可能。
特定技能外国人を雇用している企業
支援委託先が「登録支援機関」かどうかを確認する → 2027年4月以降、登録支援機関以外への委託は不可。
定期届出・随時届出の漏れがないか点検する → 届出先は地方出入国在留管理局(またはオンラインの電子届出システム)。届出漏れは在留資格の更新に影響する可能性がある。
育成就労制度の導入を検討している企業
利用予定の監理団体が「監理支援機関」の許可申請を行っているか確認する。
→ 許可を受けていない監理団体は2027年4月以降、監理支援事業を行えない。
転籍リスクを踏まえた処遇・育成環境を整備する
→ 一定要件を満たせば外国人本人の意向で転籍が可能になる。
賃金・職場環境・育成体制の見直しが人材定着の鍵。
キーワード 令和9年度 法改正 育成就労制度 特定技能 外国人雇用 技能実習廃止
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