有期雇用契約の雇止め無効‐ 実務で押さえたい判断ポイントと予防策【顧問先様用解説動画付き】
更新日:10月16日

有期雇用契約の雇止め無効‐ 実務で押さえたい判断ポイントと予防策
目次
契約社員、パートやアルバイト。
有期雇用の言い方は色々ありますが、「パートだから」といった理由で契約期間の満了のときに雇止めを進めると、後から思わぬトラブルにつながることがあります。
有期雇用契約は、契約書の書き方だけでなく、更新の運用や現場での説明の積み重ねが重要です。
今回は、雇止めで企業が押さえておきたい基本ポイントを、実務目線で整理します。
出典
厚生労働省「労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index.html
厚生労働省「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準
1.有期雇用契約の終了は、すべて同じではありません
有期雇用契約の終了場面では、実務上、次の違いを整理しておく必要があります。
1.契約期間中に打ち切る「解雇」
有期契約期間の途中で自由に終了できるものではありません。
厚生労働省も、契約期間に定めのある労働者については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間満了までの間に解雇できないと示しています。
つまり、有期契約期間での終了は解雇にあたりますので、無期雇用よりも慎重な判断が求められます。
2.満了時に更新しない「雇止め」
有期契約が満了したからといって、更新しないことが常に認められるものでもありません。
過去に反復更新があり、実質的に継続雇用に近い運用がされていた場合や、労働者に更新期待を持たせる事情があった場合には、雇止めが認められない可能性があります。
2.雇止めが問題になる会社の共通点
雇止めトラブルは、何気ない運用の積み重ねで発生します。
特に注意したいのは次のような場面です。
1.更新を繰り返している
短期の有期契約を何度も更新している場合、形式上は有期でも、実態として無期雇用に近い雇用形態であると評価されやすくなります。
その結果、契約期間が満了しても継続雇用とみなされることがあります。
2.更新基準が曖昧
就業規則や雇用契約書に更新の基準(条件)を記載していても、「会社の判断による」「必要に応じて更新する」といった抽象的な表現だけでは、実務上の説明力が不足しやすくなります。
厚生労働省からも、有期労働契約については更新時の基準や更新上限の有無・内容の明示が重要であると示しています。
3.現場の発言が契約書とずれている
更新の基準(条件)がきちんと定められていても、現場で「問題なければ更新です」「長く働けます」といった説明が繰り返されていると、後で更新期待を基礎づける事情として見られるおそれがあります。
その場合には、継続雇用とみなされることがあります。
3.見落としやすい3つの実務ポイント
1.「更新の有無」だけ書いても足りない
2024年4月からのルール改正も踏まえると、有期契約では、更新上限の有無と内容、さらに更新上限を新設・短縮する場合の説明が重要です。
単に「更新することがある」と書くだけではなく、
何を見て判断するのか
何回まで更新するのか
通算契約期間の上限はあるのかを、できるだけ具体化しておく必要があります。
2.雇止めは事前対応が不足すると一気にリスクが高まる
厚生労働省の基準では、一定の場合、更新しないときは少なくとも満了日の30日前までに予告する必要があります。
3回以上更新されている場合
1年以下の契約が反復更新され、通算1年を超える場合
1年を超える契約期間の場合
さらに、労働者から求められた場合には、雇止め理由の証明書交付も必要です。
ここで理由説明が曖昧だと、紛争リスクが高まります。
3.「記録がない会社」は守りが弱い
更新の判断にあたって、勤務成績、勤怠、指導履歴、面談記録が残っていない会社は少なくありません。
実際に問題となるのは、更新しない判断をしたことそのものより、その判断を裏づける記録があるかです。契約書、評価記録、面談記録、注意指導の履歴がつながっていないと、会社の説明は弱くなります。
4.リスクに備えた運用
1.契約書面、記載事項の整備
契約期間、更新の有無、更新基準、更新上限の有無・内容を明示することが出発点です。
特に更新上限は、後から設けたり短縮したりする場合、説明も含めて慎重に扱う必要があります。
2.更新判断の記録化
更新のたびに、勤務状況や適格性を確認し、その判断過程を残すことが重要です。
「今回更新した理由」「次回見直すポイント」が残っているだけでも、後の説明が変わります。
3.管理職の統一ルール
雇止めリスクは、人事制度より先に、現場の一言で高まることがあります。契約実務と現場説明がずれていないか、管理職研修を行うなどをして統一した運用が求められます。
5.こんな会社は、一度点検をお勧めします
次のどれかに当てはまる場合は、雇止めの前に制度点検をおすすめします。
有期契約社員を毎年ほぼ自動的に更新している
契約書の更新基準が抽象的
更新上限が曖昧、または後から変えた
現場が「長く働ける」と説明している
更新しない可能性がある社員の記録が十分でない
この状態で雇止めに進むと、後から対応コストが大きくなることがあります。
6.まとめ
有期雇用契約の雇止めは、単に「期間満了だから終了できる」という話ではありません。契約書の設計、更新判断の記録、現場の発言管理がそろってはじめて、トラブル予防につながります。
逆にいえば、雇止めの問題は、雇止めの時点で突然発生するのではなく、採用時から更新時までの運用の中で作られてしまうものです。制度と現場運用がずれていないか、一度確認しておくことが重要です。
有期契約社員の更新・雇止めは、契約書の文言だけでなく、更新回数、説明経緯、現場の運用実態まで見ないと、正確な判断ができません。
当事務所では、有期雇用契約の更新ルール整備、雇止め前のリスク点検、管理職向けの運用ルール整理まで含めてサポートしています。「自社の運用で問題がないか確認したい」「雇止め前に一度整理したい」という場合は、お気軽にご相談ください。
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キーワード 有期雇用契約 雇止め 労働契約法
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