すっきり解決。振替休日と代休【基礎編】【顧問先様用解説動画付き】
更新日:10月16日

すっきり解決。振替休日と代休【基礎編】
目次
給与計算でつまずきやすいポイントをやさしく整理
「振替休日」と「代休」。どちらも“別の日に休む”という点では似ていますが、制度の意味や給与計算の考え方は同じではありません。
「休みを取っているのだから、どちらも同じように処理すればよい」と思っていると、あとから割増賃金の計算で困ってしまうことがあります。そこで今回は、基礎編として、この2つの違いをできるだけわかりやすく整理してみます。
※この記事は一般的な解説です。実際の取扱いは、就業規則や賃金規程、労使協定、会社ごとの運用によって異なります。実務では、自社ルールや専門家の確認もあわせてご検討ください。
応用編はより実践的な内容を動画で解説していますので、気になる方はぜひあわせてご覧ください。
出典
厚生労働省「労働時間・休日等の基準資料」
労働基準法第37条
労働基準法施行規則第19条
1.まずは「振替休日」と「代休」を整理
職場でよく出てくる「振替休日」と「代休」。なんとなく似ているので、混同してしまう方も多いかもしれません。
でも、給与計算の面ではこの2つはしっかり分けて考える必要があります。ここを取り違えると、賃金の計算にズレが出てしまうことがあるんです。
今回は、2026年9月のカレンダーを例にしたモデルケースで見ていきます。あくまでイメージをつかむための例なので、実際の計算は会社のルールに合わせて確認してください。
1.振替休日とは
振替休日は、あらかじめ休日と労働日を入れ替えておく制度です。たとえば、「この日は休みにして、その代わり別の日に働く」というように、前もって調整しておくイメージです。
うまく成立していれば、その日は休日労働として扱われません。
ただし、振替の結果として法定労働時間を超える場合は、時間外労働の確認が必要になることがあります。
2.代休とは
代休は、休日に働いたあとで、あとから別の日の休みを与える制度です。こちらは、先に休日労働があって、その埋め合わせとして休みを取る形です。
振替休日と違って、事前に休日と労働日を入れ替えるわけではないので、休日に働いた事実はそのまま残ります。そのため、賃金の考え方も少し変わってきます。
ざっくりいうと
振替休日:先に休日と働く日を入れ替える
代休:働いたあとで、休みをもらう
この違いだけでも、まずは押さえておくとかなり理解しやすくなります。
2.振替休日のポイント
振替休日としてきちんと運用するには、いくつか確認しておきたいことがあります。
1.ルールが決まっていること
まず、就業規則や賃金規程に、振替休日のルールがきちんと定められていることが大切です。制度の土台が曖昧だと、あとで「これは振替だったのか、代休だったのか」と迷いやすくなります。
2.事前に知らせておくこと
振替休日は、休日出勤の前に「この日とこの日を入れ替えます」と特定しておく必要があります。後から慌てて調整すると、振替休日ではなく代休として扱われることもあります。
3.労働時間の上限に気をつけること
振替休日を設定するときは、週40時間を超えないかどうかもチェックしておきたいところです。週をまたぐ場合は、特に注意が必要です。
2.割増賃金の基本もおさらい
ここで、割増賃金の基本も軽く見ておきましょう。労働基準法では、次のような場合に割増賃金が必要になります。
時間外労働
法定労働時間を超えた分には、通常25%以上の割増が必要です。
法定休日労働
法定休日に働いた場合は、35%以上の割増が必要です。
深夜労働
22時から翌5時までの労働には、25%以上の割増が必要です。
ほかの割増と重なる場合は、その分も考慮します。
このあたりは、給与計算の基本として押さえておくと安心です。
3.今回のモデルケース
今回の例は、こんな前提です。
月給:30万円
1日8時間勤務
土日祝休み
対象月:2026年9月
所定労働日数:19日
所定労働時間:152時間
9月12日(土)に出勤
9月16日(水)に休みを取得
このモデルでは、土曜は所定休日、日曜は法定休日という前提で考えます。ただし、実際には会社ごとのルールで違う場合があります。
4.月給制の考え方
振替休日や代休を考えるときは、月給制の仕組みも知っておくとスムーズです。
月給制は、1か月単位で賃金が決まっている給与形態です。所定労働日に所定労働時間働くことに対する賃金は、月給の中に含まれていると考えます。
※ここでは遅刻、早退や欠勤をした場合には控除される通常の月給制を想定しています。
1.月給に含まれるもの・含まれないもの
一般的には、月給には通常の所定労働に対する賃金が含まれています。一方で、所定労働時間を超えた分や、所定休日・法定休日の労働、深夜労働などは、別途の計算が必要になることがあります。
とはいえ、実際の賃金設計は会社によって違います。そのため、細かいところは自社の規程を確認するのがいちばん確実です。
2.1時間あたりの賃金はどう出すの?
割増賃金を計算するには、まず1時間あたりの賃金を出します。月給制では、一般に次のように計算します。
月給 ÷ 月の所定労働時間数 = 1時間あたりの賃金
今回のモデルでは、
月給:300,000円
所定労働時間:152時間
なので、
300,000円 ÷ 152時間 ≒ 1,974円
となります。
1日あたりにすると、
1,974円 × 8時間 ≒ 15,790円
です。
※月の所定労働日数や所定労働日が異なる場合は「平均所定労働日数」もしくは「平均所定労働時間」を使用しますが、今回は所定労働時間で計算します。
5.振替休日と代休、なぜ処理が違うの?
1.振替休日の場合
振替休日は、事前に休日と労働日を入れ替えておく制度です。そのため、きちんと成立していれば、その日の勤務は原則として休日労働にはなりません。
ただし、振替の結果として週の労働時間が増えすぎると、時間外労働が発生することがあります。「振替休日だから絶対に割増なし」とは言い切れないのは、このためです。
2.代休の場合
代休は、休日労働のあとに休みを取る制度です。この場合、休日に働いた事実は残るので、休日労働に対する賃金処理が必要になります。
あわせて、代休を取った日の賃金をどうするかは、会社のルールに従って整理します。
モデルケースで見てみると
前提
月給:300,000円
所定労働時間:152時間
1時間あたり賃金:約1,974円
9月12日(土)に勤務
9月16日(水)に休みを取得
振替休日の場合
事前にきちんと振替休日が設定されている場合、9月12日(土)の勤務は、原則として休日労働にはなりません。そのため、休日労働の割増賃金は基本的に発生しません。
ただし、振替した結果、週の法定労働時間を超える場合には、時間外割増が必要になることがあります。なので、「振替休日にしたから必ず割増なし」とは考えないほうが安心です。
割増分 1,974円(時間給) × 0.25 × 8時間 = 3,948円
支給 300,000円 + 3,948円 = 303,948円
代休の場合
代休は、休日労働をしたあとで休みを取る制度です。そのため、9月12日(土)に働いた分については、休日労働としての賃金処理が必要になります。
実際の処理方法は、会社の賃金規程や運用ルールによって異なります。一般的には、休日労
働の割増賃金と、代休取得日の扱いを分けて考えることになります。
休日分 1,974円(時間給) × 1.25 × 8時間 =19,740円
代休控除 1,974円(時間給) × 8時間 = 15,792円
支給 300,000円 + 19,740円 - 15,792円 = 303,948円
※割増の計算はどこまで計算をするか、切り上げ等により差が生まれることがあります。
賃金規程で定めておく必要があります。
6.振替休日と代休の違いをまとめると
振替休日:事前に休日と労働日を入れ替える
代休:休日労働のあとに休みを与える
割増賃金:振替休日では休日労働の割増が発生しない場合がある一方、代休では休日労働の事実が残るため、賃金処理が必要
運用の前提:どちらも、就業規則や賃金規程の整備が大切
本記事のモデルケースでは、結果として金額が同じでしたが、これはあくまで一例で端数処理や会社のルール、休日区分によって結果は変わります。
※基礎編動画では1円の差異が生じています。
7.実務でありがちな注意点
1.振替休日を与えたから、必ず割増不要とは限らない
振替休日が適切に成立していれば、休日労働の割増は原則として発生しません。ただし、振替の結果として法定労働時間を超える場合は、時間外割増が必要になることがあります。
2.代休を与えても、休日労働の事実はなくならない
代休はあくまで、休日労働のあとに休みを与える制度です。そのため、代休があるからといって、休日労働に対する賃金処理が不要になるわけではありません。
3.法定休日と所定休日を混同しない
この2つを取り違えると、割増率の扱いもずれてしまいます。給与計算では、休日の区分をきちんと確認しておくことが大切です。
4.就業規則や賃金規程を確認する
制度の運用は会社ごとに違います。実際の処理は、就業規則や賃金規程に基づいて進めましょう。
5.記録を残しておく
振替休日の事前通知や代休の付与は、メールやチャットなど、記録が残る形で運用しておくと安心です。
8.まとめ
振替休日と代休は、どちらも「別の日に休む」という点では似ています。でも、制度の意味と給与計算の考え方はしっかり違います。
振替休日は、事前に休日と労働日を入れ替える制度
代休は、休日労働のあとに別の日の休みを与える制度
休日区分、事前通知、就業規則、賃金規程の確認が重要
割増賃金の処理は、法定労働時間や休日区分によって変わる
うっかり処理を間違えると、賃金計算のミスや労務トラブルにつながることがあります。
給与計算ソフトまかせにせず、制度の基本を押さえておくと安心です。
1.応用編もあわせてどうぞ
応用編では、こんなテーマも取り上げています。
法定休日と代休の関係
代休6時間の考え方
4時間未満・4時間以上で対応を変えている企業の考え方
振替休日の取得時期
代休の割増分だけ支給し、翌月以降で調整する考え方
より実務に近い内容を解説予定しています。
2.困ったときは専門家へ
実際の判断は、会社のルールや運用状況によって変わることがあります。迷ったときは、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。
【顧問先様用解説動画 再生時間22:56 スライド10枚】
振休と代休基礎編①
【顧問先様用解説動画 再生時間42:56 スライド12枚】
振休と代休応用編①
キーワード 振替休日 代休 割増賃金 月給制
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